2017年1月14日土曜日

整形外科の盛者必衰について

整形外科領域の10年後を妄想してみました.
(あまり科学的なデータを検討したわけではなく,個人的な想像の範囲です.)

1)交通事故の減少
交通事故死者数に関しては,私が医者になった2000年頃と比べると
半減しているみたいです.
リンク:交通事故死者数の推移

交通事故死者数の減少が,
交通事故に伴う多発外傷,多発骨折の減少
と相関するか?は,わかりませんが,
予想では交通事故関連の外傷は今後減少していくとおもいます.

というのも,これからの10年で
自動運転(もしくは運転支援システム)が一般的になると
・居眠り,よそ見運転による事故
・飲酒事故
・高齢者の事故
などが減少する可能性があるからです.

2)骨粗鬆症患者に発生する脆弱性骨折の推移
これは予想が難しいです
a)今後団塊の世代が高齢化してくる
→骨粗鬆症患者の増加
b)骨粗鬆症治療薬の進歩
国内初の第一世代ビスフォスフォネート製剤(ダイドロネル)の導入以降,
骨粗鬆症治療薬は劇的に進化しています.
 骨形成を促進するテリパラチド
 半年に1回投与のデノスマブ
そして,ついに1年に1回点滴するだけのビスフォスフォネート製剤である
リクラスト(ゾレドロン酸水和物)が導入されました.

基本的にはa)とb)のバランスにより未来は変わりそうです.

3)痛みに対する治療薬の進歩
私が医者になったころは,
整形外科の痛みに対しては,ほぼNSAIDsが処方されていました.
ですが,ご存知のとおり近年では
その治療選択肢がかなり増え,効果も格段に改善しています.

薬物治療の進歩で,椎間板ヘルニアを代表とする
神経根障害に対して手術をする機会は,かなり減った印象です.


今後
 急性期,慢性期の疼痛
に対する効果的な薬剤が開発されることで,
"痛みに対する手術"
というのは,減っていくことが予想されます.

総括
過去10年を振り返ってみると,
整形外科は,急性期病院では,
"稼ぎ頭"
というポジションでした.

しかし,抗がん剤や内視鏡治療の進歩により,
メジャー外科の患者数が減ったのと同じように.

交通外傷の減少,骨粗鬆症治療の進歩により
「最近骨折みる機会がへったね」
となり,
疼痛に対する薬物治療のさらなる進歩により
「椎間板ヘルニアで手術するのは麻痺がでたときくらいだね」
となる可能性は結構高いのかな?
と思います.