2017年4月15日土曜日

相手を信じることって大切

長年外来や手術を通じて患者さんと接する機会を多く経験しました.神戸市,岡山市,松山市など,いろいろな都市で診療を行い,小児からお年よりまで,たくさんの人とお話をしてきました.

手術のような大切な話しをして,私自身が相手のことを一番信頼できるのはどんな時か?

手術の説明が一通り終わった時に
Aさん:「なんか色々と説明してもらったけど,よくわからないわ.でも先生のことは信頼してるから,全部まかせるわ」

Bさん:「ところで先生,この手術の経験って,どれくらいあるんですか?」

Aさん!もっと自分の病気に関心もって! とツッコミを入れたくなるのですが,こちらが信頼できるのは,もちろんAさんですね.

Aさんは,私のことを信頼してくれている.
Bさんは,私のことを信用できる人物かどうか見定めている.

 信用とは、何らかの実績や成果物を作成して、その出来栄えに対しての評価のことをいいます。そのため「信用」するためには、実績や成果物が必要不可欠なわけです。この実績や成果物といった、過去の業績に対して「信用」するのです。
一方「信頼」は、そうした過去の実績や業績、あるいはその人の立居振舞を見たうえで、「この人ならこの仕事を任せてもちゃんとしてくれるだろう」とか「この人なら私の秘密を打ち明けても大丈夫だろう」などと、その人の未来の行動を期待する行為や感情のことを指します。もちろん「信頼」するためには何らかの根拠が必要ですが、その根拠を見たうえで、未来を「信頼」するというわけです。
リンク:「信用」と「信頼」の違いをご存知ですか? 

限られた時間の中で,「相手が信用できる人物かどうか?」と考え出すときりがありません.完璧な人間なんていませんから,粗探しをしだすときりがない.
それよりは,相手がこれから自分に対して行ってくれるであろう行為に対して,「未来の行動を信じる」という方が素敵だと思うのです.

でも,「すぐ人を信じる人って騙されやすいでしょ」とお考えのあなた.
「信用できるかどうか疑ってる人」を騙す方が案外簡単ですよ.それは,その人が信じるであろう業績や成果物をみせればよいのですから.見栄えのする業績を用意することってそれほど難しくありません(政治家が時に経歴を詐称していることを考えれば理解しやすいですね).