2017年7月18日火曜日

Anti-Fragileな組織・個人とは?

ナシーム・ニコラス・タレブの新書Antifragileより
Fragileな組織(例:福島原発)においては,いったん想定外のブラック・スワンが出現すると,その損失は確率的にも想定できない甚大なものになってしまいます.

これは,個人においても同じことで,新卒で一流企業に入社して,定年退職まで働くことを想定して,マイホームをローンで購入する行為は,一見合理的にみえますが,著者はFragileな行為であると断言します.毎年一定の給与を受け取っている期間が長く続くと,人は,それが未来永劫続くと錯覚しますが,会社の倒産というブラック・スワンはある日突然やってきます.いつやってくるのかを予測することもできません.Fragileな組織や個人にとって,ブラック・スワンの出現は,「その損失を確率的にも想定できない甚大なもの」となってしまいます.

それでは,個人でできることはあるのか?
Anti-Fragileな組織や個人にとっての,ブラック・スワンの出現は,「負の作用は限定されているが,正の作用は天井知らず」の状態となります.この天井しらずの状態は,いわゆる"べき分布(ロングテール)"と呼ばれるものです.

例えばですが,
1)大手銀行員として現在は手堅い収入を得ている.だけではFragileです.
ですが
2)大手銀行員として現在は手堅い収入を得ているが,仕事が終わったあと,休日に,YouTubeやブログを投稿し,自分の考えを書籍として出版する計画を実行している.
となると,Anti-Fragileになります.

YouTubeやブログの世界は,完全にロングテールの世界です.
私のような泡沫ブロガー(月間PV16000程度)が大多数の中,ちきりんの日記は,月間PV200万を超えています(その差は100倍以上).ブログの世界は,160cm程度の私のようなブログが多く存在する中,身長200mを超える巨人が闊歩している世界なのです.

今回の例に上げた銀行員も,おそらくブログを書いても,月間PV(ページビュー)は,たかだかしれているかもしれません.YouTubeも家族しかみてくれないかもしれません.でも,その損失というのはたかだかしれています(ブログの場合,サーバーのレンタル料とブログを書く手間).ですが,成功した時のインパクトは天井知らずの状態となります.ただ,もちろん,大成功する確率はかなり低いですが.

この,「個人にとってのブラック・スワン」を手にするために,損失が限定されているが,成功した際のインパクトがはかりしれない行為を,いかにたくさんトライするか?を考えるべきなのだと思います.

ちなみに,泡沫ブロガーの私も,ブログからは(想定外の)面白い人との出会い出会い1
出会い2)といったブラック・スワンが思わぬタイミングで発生しており,その恩恵に預かっています笑