2018年1月11日木曜日

橘玲:専業主婦は2億円損をする



幸福とは 、あなたが好きなように生きることです 。これを 「自己決定権 」といいますが 、ようするに 「自由な生き方 」のことです 。
「ゆずれない 」ものをゆずらなければならなくなったとき 、幸福度は大きく下がります 。そう考えると 、 「幸福とは 、イヤなことを断れること 」といったほうがいいかもしれません 。  
ぜったいにやりたくない仕事を上司に命じられ 、 「イヤならクビだよ 」といわれたとしましょう 。そのとき 、 「わかりました 。辞めます 」と即答できるのはどういうひとでしょうか 。それは 、クビになっても生きていくのに困らないひとです 。たくさん貯金をもっているかもしれないし 、ほかの会社から 「ウチに来てくれ 」と誘われているのかもしれませんが 、いずれにしても 「自分のちからで生きていける 」と思っているから 、イヤなことをきっぱり断れるのです 。 「お金がなければ自由に生きられない 」という考え方を 、 「経済的独立 」といいます 。お金がすべてでないのはたしかですが 、お金は自由の土台でもあるのです 。 
わたしたちが生活を依存しているのは 、会社だけではありません 。日本には年金だけで暮らしている高齢者がたくさんいて 、その生活は (年金を支給してくれる )国家に依存しています 。 「悠々自適 」などといわれますが 、日本の財政はどんどん悪化していますから 、政府が 「日本の国はもうみんなに年金を払うことができなくなりました 」と宣言したらいったいどうなるのでしょうか 。
サラリーマンが会社に、年金生活者が国家に依存しているとすれば、専業主婦は生活の全てを夫に依存しています。
欧米で「私はハウスワイフです」といったとき、まわりのひとたちが唖然とするのは、「立派な大人なのに、なんで自由な人生を自分から捨てるの?」と思っているからです。国家が「主人」なら国民は「下僕」です。会社が「主人」ならサラリーマンは「社畜」です。夫が「主人」なら妻は「はしため(下女)」でしょう。日本はどうか知りませんが、世界のひとたちは,本当の愛情や信頼は対等な関係からしか生まれないと考えているのです。